GUIDE / 日本政策金融公庫
創業計画書の書き方【日本政策金融公庫】9つの記入欄と融資担当者が見る点
創業計画書は、日本政策金融公庫(国民生活事業)の創業融資を申し込むときに提出する所定の様式で、創業の動機・経営者の略歴・取扱商品・取引先・従業員・借入の状況・必要な資金と調達方法・事業の見通し・自由記述の9つの欄で構成されます。このページでは、欄ごとの書き方と融資担当者が確認する点を、公庫の公式資料に沿って解説します。
様式と制度の内容は 2026-09-17 に 日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード(国民生活事業)」 と 公庫「創業融資のご案内」 で確認しました。最新の様式・条件は公式ページで確認してください。
このページの目次
創業計画書とは(事業計画書との違い)
創業計画書は、日本政策金融公庫(国民生活事業)に創業融資を申し込むときに提出する、公庫所定の様式です。これから開業する人と、開業後まもない人が、事業の内容・経歴・必要な資金・収支の見通しを1枚の様式にまとめます。
「事業計画書」は文書の一般的な呼び名で、決まった様式はありません。公庫の創業融資では、その事業計画書の役割を「創業計画書」という所定の様式が果たします。銀行・信用金庫の融資や補助金の申請では、それぞれの提出先が求める様式や章立てで事業計画書を作ります。
提出までの流れ
- 様式を入手する
公庫の公式サイトから創業計画書(Excel・PDF)をダウンロードします。業種別の記入例も同じページにあります。
- 経験と数字を棚卸しする
職歴、資格、自己資金の額と貯めた経緯、物件・仕入先の交渉状況、必要な設備の見積もりを集めます。
- 9つの欄を埋める
創業の動機から事業の見通しまで、下の欄別ガイドの順に書きます。必要資金と調達方法の合計、売上シェアの合計、人数と人件費の整合を確認します。
- セルフチェックと相談
公庫のセルフチェックで抜けを確認し、必要なら商工会議所・創業支援施設・専門家に見てもらいます。
- 申込と面談
借入申込書、創業計画書、見積書、本人確認書類などを提出し、面談で計画の内容を説明します。必要書類の一覧と日程は公庫の案内で確認してください。
主な必要書類
- 借入申込書(公庫所定)
- 創業計画書(このページで解説する様式)
- 設備資金の見積書(内装、機械、車両など)
- 本人確認書類、自己資金を確認できる通帳など
- 許認可が必要な業種は、許認可証(または取得の見込みがわかるもの)
- 法人の場合は履歴事項全部証明書、開業後の場合は決算書・確定申告書など
必要書類は申込方法(窓口・インターネット)や事業の状況で異なります。申込前に 公庫「創業融資のご案内」 で最新の一覧を確認してください。
記入欄ごとの書き方
以下は公庫の様式の欄の順です。各欄の「記入項目」は様式にある項目名と文字数の目安、「融資担当者が見る点」は公庫が公開しているセルフチェックの観点をもとにしています。
SECTION 01創業の動機
様式の指示: 創業されるのは、どのような目的、動機からですか。
「なぜこの事業を、なぜ今、なぜあなたが」を、これまでの経験と準備の事実でつなぐ欄です。
記入項目
- 創業の動機記述 · 400字まで · 必須
書き方
- 経験 → 気づいた課題 → 準備してきたこと → 開業の時期と場所、の順に書くと一貫性が出ます。熱意の表現より、準備の事実(積み立て、セミナー受講、物件交渉、仕入先との合意)が評価されます。
- 「昔からの夢」だけで終わらせず、勤務先で得た具体的な数字や役割(月商、担当した業務、任された人数)に触れます。
- 開業時期と場所を選んだ理由を1〜2文入れます。空白のまま出すと、面談で必ず聞かれます。
融資担当者が見る点
- 動機に一貫性があり、経歴や経験と繋がっているか
- 思いつきではなく、準備(市場調査・資金準備・人脈)をしてきたことが読み取れるか
- 開業の時期・場所を選んだ理由が具体的か
記入例(要約)12年間カフェで働き、直近7年は店長として仕入・シフト・売上管理を担当。常連客の声と、地元に朝から使えるカフェが無いことから開業を決め、2年前から資金を積み立ててきた。
SECTION 02経営者の略歴等
様式の指示: 略歴には、勤務先名だけではなく、担当業務や役職、身につけた技能等についても記載してください。
開業する事業と同じ業種での経験が、年数・役職・担当業務でわかるように書きます。
記入項目
- 略歴表 · 必須
- 過去の事業経験1行
- 取得資格1行
- 知的財産権等1行
書き方
- 勤務先名だけでなく「担当業務・役職・身につけた技能」を書くよう様式に指示があります。仕入、売上管理、人の管理、技術など、開業後にそのまま使う経験を優先します。
- 同業種の経験が無い場合は、関連する経験(接客、営業、管理)と、不足を補う準備(講習、修行、パートナー)を書きます。
- 資格・許認可は、事業に必要なものを「取得済み / 取得予定(時期)」で分けて書きます。
融資担当者が見る点
- 開業する事業と同じ業種での勤務経験があるか(年数・役職・担当)
- 経験が事業の運営に直接活きることが示されているか
- 必要な許認可・資格が揃っているか
SECTION 03取扱商品・サービス
何を、誰に、いくらで売るか。売上シェアの内訳は、後の「事業の見通し」の売上計画と一致させます。
記入項目
- 取扱商品・サービスの内容表 · 必須
- セールスポイント記述 · 300字まで · 必須
- 販売ターゲット・販売戦略記述 · 300字まで · 必須
- 競合・市場など企業を取り巻く状況記述 · 300字まで
書き方
- 取扱商品は最大3行。それぞれの売上シェアの合計が100%になるようにし、単価の目安を添えると売上の根拠につながります。
- セールスポイントは「他店・他社と比べて何が違うか」を、顧客が選ぶ理由として3つ以内に絞ります。品質・価格・立地・営業時間・経験のどれで勝負するかを明確に。
- 販売ターゲットは年齢層・属性・地域で絞り、販売戦略は開業前と開業後に分けて具体的な集客手段を書きます。
- 競合・市場は、実際に見て回った競合の数と特徴、周辺の人口や人の流れなど、自分で確認した事実を書きます。
融資担当者が見る点
- 商品・サービスと売上構成が具体的で、売上計画の根拠と整合しているか
- ターゲットが絞られ、集客方法が現実的か
- 競合を把握し、差別化が説明できているか
SECTION 04取引先・取引関係等
仕入先・販売先がどこまで決まっているかで、計画の実現性が判断されます。
記入項目
- 販売先表
- 仕入先表
- 外注先表
- 取引先に関する補足1行
書き方
- 一般消費者向けの事業は、販売先に「一般個人」と書けます。法人向けなら見込み先の名前と交渉状況を書きます。
- 仕入先は、開業前に決まっているほど評価が高くなります。未定なら候補と決める目処を書きます。
- 掛取引の割合と回収・支払の条件は、資金繰り(運転資金の額)に直結します。支払いが先で回収が後になる事業は、その分の運転資金を必要資金に入れます。
融資担当者が見る点
- 仕入先・販売先が具体的に決まっているか(開業前に決まっているほど評価が高い)
- 回収・支払条件から資金繰りに無理がないか
SECTION 05従業員
開業時の人数を書きます。人件費の計画と人数が合っているかが見られます。
記入項目
- 常勤役員の人数(法人の方のみ)人数・件数
- 従業員数人数・件数 · 必須
- うち家族従業員人数・件数
- うちパート従業員人数・件数
書き方
- 本人を除いた人数を、家族・パートに分けて書きます。「事業の見通し」の人件費(人数 × 給与)と一致させます。
融資担当者が見る点
- 人件費の計画と従業員数が整合しているか
SECTION 06お借入の状況
様式の指示: 法人の場合、代表者の方のお借入(住宅ローン、自動車ローン、カードローン等)についても記載してください。
本人(法人の場合は代表者)の既存の借入をすべて書きます。隠さないことが前提です。
記入項目
- お借入の状況表
書き方
- 住宅ローン・自動車ローン・カードローン・教育ローンも対象です。年間返済額は、事業の利益から新しい返済と合わせて払えるかの確認に使われます。
- 無い場合は空欄で構いません。
融資担当者が見る点
- 既存の返済負担を含めて、事業の利益から返済できるか
SECTION 07必要な資金と調達方法
必要な資金の合計と、調達方法の合計を一致させます。設備資金には見積書の裏付けを用意します。
記入項目
- 設備資金表 · 必須
- 運転資金表 · 必須
- 自己資金(万円)金額 · 必須
- 親族、知人等からの借入(万円)金額
- 親族、知人等からの借入の内訳・返済方法1行
- 日本政策金融公庫 国民生活事業からの借入(万円)金額 · 必須
- 公庫借入の元金返済期間・据置期間1行
- 他の金融機関等からの借入(万円)金額
- 他の金融機関からの借入の内訳・返済方法1行
書き方
- 設備資金は「内容(見積先)」と金額を項目ごとに分け、内装・機械・保証金など見積書が取れるものは見積先を書きます。
- 運転資金は、開業してから売上が安定するまでの仕入と経費(家賃・人件費・光熱費など)を、何か月分見ているかがわかるように書きます。
- 自己資金は、通帳で準備の過程を確認されます。毎月の積み立てなど、時間をかけて貯めた経緯が説明できると評価されます。
- 親族からの借入は内訳と返済方法を書きます。返済の必要が無い贈与と、返済する借入を分けます。
- 公庫からの借入希望額は、必要資金から自己資金・他の調達を引いた額と一致させます。返済期間・据置期間の希望も書きます。
融資担当者が見る点
- 必要資金の合計と調達方法の合計が一致しているか(一致が必須)
- 自己資金が総額の1/10以上あり、準備の過程が説明できるか
- 設備資金に見積書の裏付けがあるか、運転資金が数か月分の経費として妥当か
SECTION 08事業の見通し(月平均)
様式の指示: 創業当初と、軌道に乗った後(○年○月頃)の月平均の見通しを記入してください。
売上を「単価 × 数量 × 日数」で積み上げ、原価・経費・返済まで数字がつながることを示す、最も見られる欄です。
記入項目
- 事業の見通し表 · 必須
- 軌道に乗る時期1行
- 売上高、売上原価(仕入高)、経費を計算された根拠記述 · 600字まで · 必須
書き方
- 売上高は、客単価 × 1日の客数 × 月の営業日数(または 単価 × 件数)で計算し、計算式をそのまま「根拠」欄に書きます。業種の相場から大きく離れた数字は理由を求められます。
- 売上原価は原価率(%)で示し、業種の一般的な水準や自分の勤務先での実績を根拠にします。
- 経費は、人件費(人数 × 給与)、家賃(実額)、支払利息(借入額と金利からの概算)、その他(水道光熱費・通信費・広告費など)を項目ごとに積み上げます。
- 利益から、公庫への返済(年間返済額 ÷ 12)と、個人事業なら本人の生活費が払えるかを確認します。払えない計画は、売上か経費か借入額を見直します。
- 「創業当初」と「軌道に乗った後」の差には理由(客数の増加、認知の拡大、追加シフト)を書き、軌道に乗る時期の目安も示します。
融資担当者が見る点
- 売上の根拠が「単価 × 数量 × 日数」の積み上げで示され、業界平均から乖離していないか
- 原価率・経費が業種の相場と整合しているか
- 利益から借入の返済(年間返済額 ÷ 12)と生活費が賄えるか
- 創業当初と軌道後の差に理由があるか
SECTION 09自由記述欄
様式の指示: アピールポイント、事業を行ううえでの悩み、希望するアドバイス等
アピールポイント、リスクへの備え、相談したいことを書く欄です。空欄でも構いませんが、リスクの認識を示す場所として使えます。
記入項目
- 自由記述記述 · 400字まで
書き方
- 「売上が計画の7割だった場合の対応」のように、うまくいかない場合の備え(経費の調整、予備資金)を書くと、計画の現実性が伝わります。
- 相談したいこと(追加融資の時期、返済条件)は、面談での会話の入口になります。
融資担当者が見る点
- リスクを認識し、備えを考えているか
数字のつながりは 記入例(カフェ開業) で全欄を確認できます。公庫の 公庫「創業計画書のセルフチェック」 と 公庫「収支計画の確認項目」 も、提出前の確認に使えます。
よくある質問
- 創業計画書と事業計画書は何が違いますか?
- 創業計画書は日本政策金融公庫が創業融資の申込用に定めた所定の様式です。事業計画書は事業の計画をまとめた文書の一般的な呼び名で、決まった様式はありません。公庫の創業融資では、創業計画書が事業計画書の役割を果たします。
- 創業計画書には何を書きますか?
- 創業の動機、経営者の略歴等、取扱商品・サービス、取引先・取引関係等、従業員、お借入の状況、必要な資金と調達方法、事業の見通し(月平均)、自由記述欄の9つの欄があります。必要な資金と調達方法の合計を一致させ、事業の見通しは売上の計算根拠まで書きます。
- 自己資金はいくら必要ですか?
- 自己資金の最低割合を条件としていた旧制度(新創業融資制度)は終了しており、現在の創業融資に一律の自己資金要件はありません(2026-09-17時点の公庫の案内で確認)。ただし自己資金の額と、それを時間をかけて準備してきた経緯は審査で重視されます。最新の条件は公庫の公式ページで確認してください。
- 売上の根拠はどう書けばよいですか?
- 客単価 × 1日の客数 × 月の営業日数(または 単価 × 件数)の計算式で書き、単価と客数の前提(競合の価格、席数と回転数、見込み客の反応)を添えます。原価率と経費も項目ごとに積み上げ、利益から借入の返済と生活費が払えることを示します。
- 記入例はどこで見られますか?
- 公庫の公式サイトに業種別の記入例が掲載されています。bizlyaiでも、数字のつながりを確認できる架空の記入例(カフェ開業)を公開しています。
- AIで創業計画書を作れますか?
- bizlyaiでは、公庫の創業計画書の記載項目に沿ってAIが質問し、回答から各欄の下書きと数字の整合チェックを行えます。出力はbizlyai形式(Excel・PDF)で、公庫の様式への転記と内容の確認は本人が行います。審査の結果を保証するものではありません。