資本金の払込のやり方|発起人口座への振込・払込証明書・資本準備金・よくある間違い【会社設立の流れ 第6回】
AIを活用して作成し、公式資料を参照しています。掲載の記入例は架空の例です。出典と確認日は本文に記載しています。
この記事の目次
資本金の払込は、定款作成後に、発起人が定めた銀行口座(通常は発起人代表の個人口座)へ各発起人が出資額を振り込み、その記録をもとに払込証明書を作る手続です。会社はまだ成立していないので法人口座は作れません。振込の日付と金額が定款や登記申請書と一致していることが、登記で確認されます。
この記事は連載「会社設立までの流れ」の第6回です。株式会社を中心に説明しますが、合同会社でも社員の出資の払込と証明の考え方は同じです。
いつ払い込むか
発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、引き受けた株式について出資金の全額を払い込みます(会社法34条1項)。実務では、定款の作成日(認証日)以後に振り込むのが安全です。定款作成日より前の入金は、その出資のための払込と証明しにくく、登記で補正を求められることがあります。
どの口座に払い込むか
- 発起人の個人名義の口座(発起人が複数なら、代表となる発起人の口座)を払込取扱場所にする
- 自分の口座に自分で振り込む形になるので、「振込」または「入金」として、振込人名と金額が通帳に記録されるようにする。既に残高があるだけでは払込の証明にならない
- ネット銀行でも構わないが、通帳がない場合は取引明細を印刷して口座名義・口座番号・日付・金額が分かるようにする
- 発起人が複数いる場合は、それぞれが自分の名前で振り込み、誰がいくら払ったかを分かるようにする
払込証明書の作り方
法務局の記載例では、「払込みがあったことを証する書面」として、設立時代表取締役が作成した払込証明書に、通帳の表紙・表紙裏(口座名義と口座番号のページ)・振込が記帳されたページのコピーを合わせて綴じたものを添付します。銀行が発行する払込金受入証明書でも構いませんが、発起設立では通帳コピー方式が一般的です。
払込証明書/当会社の設立時発行株式については、以下のとおり全額の払込みがあったことを証明します。/設立時発行株式数 300株/払込みを受けた金額 金3,000,000円/令和8年10月1日/株式会社ミナト珈琲 設立時代表取締役 ○○ ○○
bizlyai編集部による架空の記入例。実在事業者の実績・採択事例ではありません。
証明書の日付は払込日以降にします。通帳コピーの振込額の合計が証明書の金額と一致しているか、振込が定款作成日以降かを提出前に確認します。
資本金と資本準備金
資本金の額は、原則として払込を受けた財産の額です(会社法445条1項)。ただし、払込額の2分の1を超えない額は資本金に計上せず、資本準備金にできます(同条2項・3項)。たとえば300万円を払い込んで資本金150万円・資本準備金150万円にすることも可能です。
| 払込額の使い分け | 資本金 | 資本準備金 | 登録免許税(0.7%・最低15万円) |
|---|---|---|---|
| 全額を資本金に | 300万円 | 0円 | 15万円 |
| 2分の1を準備金に | 150万円 | 150万円 | 15万円 |
| 1,200万円を払い込み全額資本金 | 1,200万円 | 0円 | 15万円(8.4万円だが最低額適用) |
| 1,200万円を払い込み半分を準備金 | 600万円 | 600万円 | 15万円 |
この表の範囲では登録免許税は変わりませんが、資本金が1,000万円以上かどうかは消費税の納税義務の判定に影響します(国税庁 No.6531)。払込額を減らさずに資本金の額だけを1,000万円未満に抑えたい場合に、資本準備金の仕組みを使うことがあります。資本金の額を定款に定めない場合は、発起人の同意書で資本金と資本準備金の額を決め、登記の添付書類にします。
登記で差し戻されやすい払込の間違い
| よくある間違い | 起きること | 避け方 |
|---|---|---|
| 定款作成日より前の入金 | 出資のための払込と認められない | 認証日以降に振り込む |
| 残高があるだけで振込記録がない | 払込があったことを証明できない | 一度引き出してから振り込むか、別口座から振り込む |
| 振込額の合計と定款・申請書の金額が不一致 | 補正(訂正)を求められる | 証明書作成前に合計を照合 |
| 借りたお金を一時的に入れて登記後すぐ返す(見せ金) | 出資の効力が否定され、法的責任を問われるおそれ | 実際に事業に使う資金を出資する |
| 他人名義の口座への振込 | 発起人の払込と結びつかない | 発起人本人(代表発起人)名義の口座を使う |
払い込んだ資本金は、そのまま事業資金になる
登記が完了して法人口座ができたら、発起人の口座から会社の口座へ資本金を移します。設立費用(登録免許税や認証手数料)は資本金から支払ってよく、創立費として会計処理できます。資本金のうち設立費用に消える分と、開業後の運転資金に回せる分を分けて把握しておくと、創業計画書の「必要な資金と調達方法」を書くときに自己資金の内訳として使えます。詳しくは第10回「設立と創業融資・補助金の順番」で扱います。
払込証明書ができたら、次は第7回「設立登記の申請」です。
参照した公式資料
資料確認日:2026年9月18日。記入例・計算例は説明用に作成したものです。提出前に提出先の最新様式・案内と照合してください。
関連ガイド
- 会社設立までの流れ【連載の目次】
決めること、定款、認証、払込、登記、設立後の届出を順番に。
- 創業計画書の書き方(日本政策金融公庫)
設立と並行して準備する創業融資の書類。
- 創業計画書を作る前に準備するもの
資本金・必要資金・売上根拠を、設立前の検討から引き継ぎます。