株式会社と合同会社の違い|設立費用・手続・機関設計・信用をどう比べるか【会社設立の流れ 第2回】
AIを活用して作成し、公式資料を参照しています。掲載の記入例は架空の例です。出典と確認日は本文に記載しています。
この記事の目次
株式会社と合同会社の実務上の大きな違いは、定款認証の要否、登録免許税の最低額、そして所有と経営の分け方です。設立費用だけなら合同会社が安く、株式や取締役会といった仕組みで人や資金を集めるなら株式会社が向いています。
この記事は連載「会社設立までの流れ」の第2回です。会社の種類には合名会社・合資会社もありますが、新規設立の大半は株式会社と合同会社なので、この2つに絞って比べます。
違いの一覧
| 比較項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 定款の公証人認証 | 必要(会社法30条) | 不要(社員全員が定款に署名または記名押印。会社法575条) |
| 定款認証手数料 | 資本金の額により1万5,000円〜5万円 | 0円 |
| 登録免許税 | 資本金×0.7%、最低15万円 | 資本金×0.7%、最低6万円 |
| 出資者の呼び方 | 株主 | 社員(出資者。従業員の意味ではない) |
| 所有と経営 | 株主が取締役を選ぶ。株主=取締役でもよい | 原則として出資した社員が業務を執行する |
| 意思決定 | 株主総会と取締役(取締役会を置く場合は取締役会) | 定款で自由度が高い。原則は社員の過半数など定款の定めによる |
| 利益の分け方 | 原則、持株数に応じる | 定款で出資比率と異なる配分を定められる |
| 役員の任期 | 取締役は原則2年(非公開会社は定款で最長10年まで伸長可) | 任期の定めなし |
| 決算公告 | 義務あり | 義務なし |
| 株式の発行 | できる(増資・ストックオプション等) | 株式はない。増資は出資の追加や社員の加入 |
| 組織変更 | 合同会社への変更は可能 | 株式会社への変更は可能 |
金額は2026年9月18日に日本公証人連合会と国税庁のページで確認したものです。役員任期や公告の扱いは会社法の規定を要約しています。定款の作り方によって変えられる事項も多いため、細部は定款作成時に条文と照らし合わせてください。
費用差はどれくらいか
株式会社を電子定款で設立すると、定款認証手数料(資本金100万円未満で発起人3人以下などの要件を満たせば1万5,000円、それ以外は3万〜5万円)、謄本代、登録免許税15万円がかかります。合同会社は登録免許税6万円が中心で、認証費用はありません。資本金300万円で比べると、株式会社は認証手数料5万円と登録免許税15万円に謄本代を加えた約20万円、合同会社は登録免許税の6万円です(いずれも電子定款で自分で申請した場合の法定費用)。
両者とも、認定市区町村の「特定創業支援等事業」を受けて証明書を取ると、登録免許税が0.35%(株式会社は最低7万5,000円、合同会社は最低3万円)に軽減されます。費用の全体は第9回「会社設立の費用と日程」で扱います。
所有と経営、意思決定の違い
株式会社は、出資者(株主)と経営者(取締役)が別でもよい仕組みです。一人で設立して自分が株主かつ取締役になることもできますし、後から出資者を増やして株式を持ってもらうこともできます。合同会社は、出資した社員が原則として業務を執行し、利益配分や意思決定を定款で柔軟に定められます。少人数で経営し、外部から株式で資金を集める予定がない場合に選ばれやすい形です。
将来、VCからの出資やストックオプションでの採用を考えるなら、株式という仕組みがある株式会社が前提になります。合同会社から株式会社への組織変更は可能ですが、登記や定款の作り直しが必要です。
「信用」の違いは、相手が誰かで決まる
合同会社は2006年の会社法施行で生まれた形で、株式会社より知られていません。取引先が法人形態を気にするかどうかは業種と相手によります。一方、金融機関の融資審査や補助金の要件では、会社の種類よりも事業計画・自己資金・実績が見られます。日本政策金融公庫の創業支援のQ&Aでは、自己資金は重要な要素の一つとしつつ、それ以上に創業計画全体がしっかりしているかが重要だと説明されています。
判断のための確認表
| あてはまる状況 | 傾き |
|---|---|
| 外部から株式で出資を受ける、役員を複数置く、将来の上場や株式譲渡を視野に入れる | 株式会社 |
| 取引先や採用で株式会社という形を求められる可能性が高い | 株式会社 |
| 自分または家族・少人数で経営し、設立費用を抑えたい | 合同会社 |
| 利益配分や意思決定を出資比率と別に決めたい | 合同会社 |
| 許認可で法人形態の指定がある(要確認) | 指定に従う |
どちらを選んでも、次の第3回「設立前に決める8つの基本事項」で扱う商号・目的・本店・資本金の検討は共通です。
よくある質問
一人でも株式会社を設立できる?
できます。発起人1人、取締役1人の株式会社は一般的な形です。取締役会を置かない会社では取締役は1人でよく、監査役も不要です。法務局の「一人会社」向けの完全オンライン申請の案内もあります。
合同会社で始めて、後で株式会社にできる?
組織変更の手続で可能です。ただし、定款の作り直し、組織変更計画の作成、債権者保護手続、登記が必要になり、費用と時間がかかります。数年内に株式での資金調達を予定しているなら、最初から株式会社にした方が手戻りが少ない場合があります。
参照した公式資料
資料確認日:2026年9月18日。記入例・計算例は説明用に作成したものです。提出前に提出先の最新様式・案内と照合してください。
関連ガイド
- 会社設立までの流れ【連載の目次】
決めること、定款、認証、払込、登記、設立後の届出を順番に。
- 創業計画書の書き方(日本政策金融公庫)
設立と並行して準備する創業融資の書類。
- 創業計画書を作る前に準備するもの
資本金・必要資金・売上根拠を、設立前の検討から引き継ぎます。